病室からの風景
家人が検査入院のため豊後大野市の病院に1週間お世話になった。
病室の窓を開けると、真っ先に目に飛び込んできたのがこの建物。
小高い丘の上に建つ、なにやら雰囲気あり過ぎの古びた洋館。
見るからに、ジブリ臭ふんぷんのたたずまいに思わず居合わせた看護師さんに聞いた。
あの建物はなんですか?
学校かなんか?
すると彼はえっ? という感じに今気がついたという風で、
さぁ、なんの建物かは分かりませんが学校ではありませんと言った。
どうも気になるのでネットで調べた。
豊後大野市の古い建物。🔍
すぐに件の洋館がヒット。
旧緒方村役場跡。
大分県に現存する最古の木造庁舎だという。
国の登録有形文化財とのことだった。
昭和7年建造で老朽化も激しく、幾度か存続の危機に見舞われたが、市民の強い要望によって保存が決まったらしい。
最近大規模な補修工事が行なわれ、
なるほど、いかにも古そうな外観ながら鮮やかな屋根や外壁の色合いが際立っている。
市民の情熱の結晶の如き建物なのであった。
私は別府育ちで、子供の頃昭和30年代にはこのような洋風の屋敷があちこちにあった。
観光地ゆえ、昔に市をあげて別荘地ビジネスに沸き立った名残りだったろう。
村役場跡を見て、不思議な懐かしさを覚えたのはそういう理由からかも知れない。
話はコロリと変わるが、
昨年来家人が体調を崩して病院のお世話になる機会が増えた。
病状とは別に、ひとつ困った事がある。
採血や点滴治療の際に、穿刺(センシ)と読みます、詳しいでしょうが。😁
穿刺できない。
つまり点滴の針が刺さらない。
というかどこに刺せばいいかわからない。
看護師さんが何人も代わって4人目でやっと入ったという事もざらである。
ご存知の方もおられるだろうが、家人かつては刺青の彫師で当然両腕にみっちりと彫り物が入っている。
タトゥーのようなチャラい代物ではない年季もんが。
年季入り過ぎて今や古色蒼然たる天然記念物的質感醸し出しており。
誰も保存運動しませんが。
それがどうも点滴が容易に入らない原因ではないかと思う。
物理的に彫り物が問題なのではなく、看護師さん達を緊張させてしまうのかも知れず。
家人が、ここからなら入りやすいよと言って指差しで教えてやっても、血管が見える所に、従って手首に近い細い血管にトライしたがる傾向があると。
ますます入りにくいと。
どこの病院に行ってもそんな事を繰り返すので、さすがにトラウマに陥っているらしい。
針恐いと。
刺青を入れることのデメリットがあれこれ取りざたされる。
子供とプールに入れない。
温泉に入れない。
夏でも半袖着れない。
とかなんとか。
しかし、そんなことは屁でもないのよ。
病気になった時、たった一本の針が入らず穿刺残酷物語におちいるリスクというものも考慮に入れておくべきである。
あ、家人の検査結果は良好にてもう退院しました。
写真は、本人ではなく家人が彫った作品です。(注)